ちょっとしんどいなと思ったときに必要なこと

自分が落ち着く場所は人それぞれです。家の中が一番落ち着くという人もいるでしょうし、会社が実は一番落ち着くという人もいるかもしれません。

場所には力があります。お祭りのように、集まった人から発散される力もありますが、廃墟のように、誰もいないはずなのに、不思議なオーラを持っている場所もあります。

私にとっては長い間、吉祥寺の井之頭公園が、とっておきのパワースポットでした。大道芸人がいて、自分の作品を地面に並べて売っているアーティストがいて、地酒のボトルを一列に並べて酒を飲んでいるサークルがいたり、その仲間には入ったりはとてもできないのですが、そのそばをぶらぶら歩いているだけで、なんとなく落ち着く場所でした。

井之頭公園が、アーティストの登録制などをとるようになり、少し雰囲気が変わってからは秋葉原のラジオ会館に毎週のように通いました。

そのころ、少し本格的に模型をつくっていたこともあり、ラジオ会館で模型の部品や道具を調達する目的もありましたが、とにかく変なお店が多くて見ていて飽きない場所でした。薄暗くて、雑多で、こんなんで大丈夫かなと思っていたら、案の定、耐震強度の問題だかなにかで建て替えがきまり、今ではすっかりこぎれいなただのビルです。

いまではまったく足が遠のいてしまいました。

いま、代わりになっている場所は、お茶の水です。お茶の水駅に降り立つと、神田川が見えます。坂を下れば、神保町の古本屋街まですぐです。丸善で好きな本が見つかれば、珈琲で2時間とねばれる喫茶店には事欠きません。

古本屋は評価の定まった本が並んでいるので、安心です。買ってもいいし買わなくてもいい。

吉祥寺は誰もが集まる公園、ラジオ会館は、雑多な人が集まるオタクの聖地、古本屋街は言わずと知れた本の街、どこも何か目的があっていくわけではない人にやさしい場所です。

誰もがいつでも目的をもって生きているわけではありません。

たまには、まったくアイドリングして、ぼーとできる場所が必要です。そんな力のある場所が、おっさんには必要なのです。パワースポットはパワーをくれるばかりではなく、そっとしておいてくれる、無目的な人間も受け入れてくれる、そんな懐の深い場所でもあります。

自分をアイドリングできる場所を一つ持つと、日常はずいぶんと楽になります。

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