フランス料理を食べにいくお金と時間がなくても楽しめる料理大河ドラマー海老沢泰久『美味礼賛』

みなさん、こんばんわ。今日は久しぶりのブックレビューをお届けしたいと思います。このブログはシンプルライフログと題して、日々の生活のなかで学びとなった「経験・行動」「コンテンツ」「モノやギア」の記録をひとりでも多くの方に共有することを目的にお届けしております。

さて、そんななかで今日お届けするのはコンテンツ。書籍紹介になります。

皆さん、本なんて読む時間ないよ、とかどの本を読めばいいのかわからないよという方も多いかもしれません。

かつては私もとにかく量を読むタイプで、年間数百冊読んでいたこともあります。今はだいぶ落ち着き、本棚にはその時に読んでこれはよかった、という本だけが残っている状態です。

ここではそうした勝ち残った間違いのない本たちについて「何を期待して買ったのか」「結果どうだったのか」「本棚に残してどんな時に読んでいるのか」をレビューしていきたいと思います。

よくある読んだ気になる内容紹介ブログとはちょっと違いますが、本を買う時の「期待値」や読んだことで残る「経験値」などをまとめていきたと思います。

それでは、今日の本は海老沢泰久さんの「美味礼賛」です。

これは日本のフランス料理の草分け辻静雄さんの伝記小説です。辻調理師専門学校を開校し、日本に本格的なフランス料理を広めた辻さんが、どのように本場のフランス料理を日本に持ち込み、生徒たちに教え、広く普及させていったかが書かれています。

この本を買ったときは一時期食レポとか食エッセイに凝っていた時期で、自分では時間もないしお金もないので食べることもできないような豪華な料理や海外の料理、ぜいたくなものだけでなく珍味や、素朴な地域の味など、時間と場所の制約を越えて、本のなかで食に触れる、というなかなか難しい挑戦をしていた時期だったんですね。

いや、これ、なかなか難しいんですよ。

皆さんもお分かりと思いますが、「おいしかった」と書かれていてもそれだけでは何も伝わってきませんよね。

絶品とか、筆舌に尽くしがたいとか書かれても物のおいしさは全く伝わってこないわけです。しかし、文章というのは不思議なもので、書く人が書くと伝わってくるものなんです。

その代表が開高健先生で開高先生の食エッセイはぜいたくな語彙と巧みな言葉遣いで紙の上に湯気が立つようにありありと表現されていました。そんな開高先生のエッセイを皮切りに、食に関する文章っておもしろいなと思っていろいろな作家さんの食に関する本をあさっていた時期に見つけたのがこの美味礼賛でした。

読んだ感じとしては、食に関する表現が素晴らしい、という本ではなかったんです。

でも、いい意味で裏切られた本でした。

これは辻静雄さんの青春、生涯をかけた大河ドラマだったんですね。

新聞記者だった辻さんが、婿入りして調理師学校をやることになって、何もわからないところから体当たりで本場のフランス料理を学んでいく。日本の古い料理界のしがらみやライバル校の妨害に会いながらもフランス料理を日本に広めていく大河ドラマ。読み返すたびに痛快で面白く、胸がすくような思いがします。

料理に関する本というよりは、一つのことを極める男の一生のストイックさであったり、胸のすくような成長譚であったりを読みたいくなったときに、本棚から取り出して読むことにしています。

なんか最近熱中できることがないな、という時に読むとちょっと元気をもらえる一冊です。

本棚に残しておいて損はない一冊。ちょっと興味を持った方がいたらぜひ読んでいた出来たい1冊です。

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