心を整える:小説の神様が書いた『小僧の神様』を模写する

志賀直哉『小僧の神様 城の崎にて』より

『小僧の神様』は短編のなかでもっとも好きなもので、長さも適当なので、たまに書き写してみることはほんとにお勧めです。小僧があのお客の家を訪ねてみたときに、小さな稲荷があった、と作者が書こうとして、それでは小僧が少しかわいそうだと思い、書かずに筆をおいた、というところが、なんとも終わり方として綺麗で、印象的です。

写経と同様、小説の模写にも心を落ち着けてくれる効果がありますが、小説の場合は物語の世界に心をとどめることができるので、より初心者向けかな、という気がします。小説を選ぶ際は、情景描写が美しいものを選び、できれば短編だとなおよいでしょう。

長編と違い、短編はそぎ落とした文章の美しさがあり、余計な設定や会話などもありません。選び抜かれた言葉、文、それによって構成された小さな世界は書き写していても飽きず、ストレスがありません。間違ってもハードボイルドの長編などを選ばないように。

その意味でも、小説の神様と言われる志賀直哉の名短編「小僧の神様」はおススメなのです。

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