日本史上最も難しい交渉を任された男 ~小村寿太郎の交渉術『ポーツマスの旗』

このブログはシンプルライフログと題して、日々の生活のなかで学びとなった「経験・行動」「コンテンツ」「モノやギア」の記録をひとりでも多くの方に共有することを目的にお届けしております。

さて、さて、そんななかで今日お届けするのはコンテンツ。書籍紹介になります。皆本なんて読む時間ないよ、とかどの本を読めばいいのかわからないよという皆様に、いいものだけを厳選して生活に取り入れることをモットーとする「モノ好きブロガー」の私がおすすめする「本棚に残す価値のある本」をレビューしていきたいと思います。

今日ご紹介する本はこちら、吉村昭『ポーツマスの旗』です。

ポーツマスというのはアメリカのニューハンプシャー州にある都市の名前で、日本と帝政ロシアが行った日露戦争の講和会議が開かれた場所です。ポーツマス条約という名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

このポーツマスの旗は、この日露戦争の講和会議について、日本の全権代表小村寿太郎と、ロシア全権代表のウィッテの熾烈な交渉を描いた作品です。

交渉、苦手ですね。得意な人は少ないかもしれません。しかしもこれは生半可な交渉ではありません。

日露戦争は国力で劣る日本が帝国ロシアと戦い、日本海海戦での奇跡的な勝利によってようやく講和会議を開くに至っています。終始優勢に戦いを進めた日本も国力はすでに限界で戦争継続は困難、一方の帝政ロシアは革命の機運が高まり国内が不安定化している状況でしたが、お互い弱みを見せずあくまでも決裂するなら戦争継続という構えで交渉に臨んでいます。

日本は20億ともいわれる戦費を描けた戦争を終結するにあたって、ロシアから賠償金をとりたい。一方のロシアはメンツをかけて領土を一ミリたりとも渡さないという強硬な姿勢で交渉は難航します。

全権代表とはいえ、本国に交渉の経緯を報告し、指示を仰ぎながら交渉を続ける小村とウィッテはお互いの手の内を探りながら交渉は進みます。

交渉はどうなるのか、日本は賠償金をとれたのか、歴史を学び、その後の日比谷焼き討ち事件などをご存じの方はご存じかもしれませんね。

この本の読みどころは何といっても交渉、駆け引きの妙です。相手のメンツをつぶさないようにしつつ、自国の国民感情にも配慮しながら落としどころを探る。どの条件を捨て、どの条件を生かすのか。ブラフを張って、どこまで相手を揺さぶるのか。

交渉のケーススタディとしても面白く読むことができます。

日常でこれほどのタフネゴシエーションをすることもないかもしれませんが、交渉するときはどこを最終防衛ラインにするのかを決めて臨む、どこまでいったら席を立つのか、これを本でから交渉ではそれだけは決めて臨むようになりました。

人と何かを交渉する機会があるひとは、おすすめできる作品です。

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