シンプルライフと物欲について考える

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シンプルライフなのにモノについて書いている

今日はちょっと真面目に、物欲というものについて考えてみたいと思います。モノのことをよく書いていますが、それとシンプルライフがどう結びつくのか、ということをご説明したいと思います。

シンプルに生きる、というのは、自分の大事なモノに集中して、ていねいに生きることだと思いますが、このとき問題になるのは自分の欲との向き合い方です。

欲するというのはもろ刃の剣です。

欲はべつに悪いモノではない とはよく言うが

わたしは、いつもこの問題を考えると、欲望と成長について考えます。何かが欲しい、と思うことはとても大切なことです。特に、それが人の生活に欠かせない衣食住にかかわることであったり、それを手に入れるための能力であったりする場合、それを欲することは人間の成長につながります。

ですから、欲というものが別に悪いモノではない。しかし、物に対して、それが向けられたときには、話は変わってきます。普通、どんな欲にも限界効用逓減の法則というものが働きます。これは経済学の用語ですが、ごくごく簡単に言ってしまうと、1杯目のビールはすごくおいしいけれど、2杯目のビールはそれほどでもない。1単位当たりに得られる満足が減っていく、という法則です。

ですから、洋服をいくらたくさんもっていても、似た用途のものであれば、数が増えても感じる幸せは減っていきます。

ですから、モノをやたらと欲しがっても幸せにはなれないのです。

限界効用逓減の法則がある限り、物だけは幸せになれない

しかし、簡素な生活を心がけ、自分の本当に大事なものを見つけたときに、それで幸せになれるのかというと、それもまた難しい。

限界効用逓減の法則は、財の消費量が増えることに効果が逓減するというものですが、私は1つのモノに対して人間が飽きる、ということもこの法則に近いモノがあるのではないかと思っています。これは財の消費量ではなく、消費回数が問題になります。

モノを最初に買ったとき、最初にそれを使ったときの喜びは、徐々に逓減していきます。いわゆる慣れです。だから、季節ごとに新しい洋服が欲しくなったりする。これは今の持ち物を使うことで得られる喜びが徐々に逓減し、新しくものを買うという期待感、ワクワク感が、上回ってきているためです。

こうなると、際限がありません。だからこそ、使うたびごとに、育っていくものが大事だと思うのです。

モノにモノガタリが生まれてはじめて、幸せを感じる

エイジングしていくもの、使うたびごとに、味がでてくるものは、この逓減の法則が働かないのではないでしょうか。飴色に光っていく革、深みを増す輝き、しなやかに身体にフィットする着心地、そのどれもが使うたびごとに増していくとしたら、そのモノを飽きることなく付き合っていける。ていねいに扱い、そのモノと一緒に過ごした時間やらストーリーやらの堆積が生まれてはじめて、物との関係において幸せを感じることができる。

そう考えているのです。

自分の手の届く範囲で、ていねいに作られたもの、できれば使うたびに風合いを増すものを長く使う、そのためにいいモノを探している。そういう物欲はある意味では健全なものだと私は思っています。

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