ひすいこうたろうさんと滝本洋平さんの共著「なぜジョブズは。黒いタートルネックしか着なかったのか?」。この本は幸せに生きるために必要だと考えられる様々な先達の「マイルール」を紹介する本です。例えば、ジョブズであれば、自分なりの美学を持ち、最高のコンピュータをつくることが、何よりも優先される、そんな価値観の人でした。
だから、洋服を選ぶ時間を人生から削った。だから、黒いタートルネックしか着ないのです。
そんな風に、他の偉人たちが大切にしているマイルール(美学)に学ぶ、という形式の本なのですが、そのなかで出色だったのが、「古代日本人に学ぶ」というもの。
そのなかで紹介されているある神主さんの言葉なのですが
日本の神道にはほかの宗教が備えているあるものがない。
「教え」がない。
宗教であれば神様がいて戒律があって、それを破ると罰がある。
でも日本の神道にはそれがない。
そのかわり「それが美しいか、美しくないか」で物事を判断する感性があった。
そういう話が紹介されているんですね。
これは非常に面白い視点だと思いました。
いろいろな神様がいて、正しいとか正しくないということで人を裁いたりはしない。そういう意味ではギリシャ神話なんか、それに近いんじゃないかと思います。人間臭い神様がいて、結構好き勝手やってますよね。
でもギリシャ神話がもとで戦争になったという話はあまり聞きません。
唯一性と結びつくとやはり人間はおかしな方にいってしまう、日本の神道にだって、そういう時代がなかったとはいいきれません。
それでも、日本人の生活に溶け込み、美しいか美しくないかで物事を判断する感性を養ってきた神道に教えがない、というのは面白い話でした。
それだけで、この本は読む価値ありです。