長谷敏司さんの『BEATLESS』(ビートレス)を読了しました。文庫本も発売間近ですが、この印象的な造本の単行本で一気に読みたいと思っていたので、あえて文庫本発売前にアマゾンで購入。ネタバレの感想と考察、レイシアの正体についてまとめてみたいと思います。
アニメは第5話まで進んでいるようですが、原作を先に読めてよかったです。テーマは「かたち」と「意味」、「人間」と「道具」など、普遍性があり、絵を追う前に、テキストでしっかりと呼んでおくと、物語の奥行きが感じられるようになります。
とくに、SFは、まだ人類が到達していない状況を描いて、
そこで我々が直面する「本質的な問い」について、向き合う機会をくれる物語機能を持っていると私は思うのですが、このBEATLESSはその意味では正しくSFだったと思います。
超高度AIが作り出した人類未到達物であるレイシア級hIE(アンドロイド)5機が爆発事故によって解き放たれ、そのうちの一機とレイシア級タイプ005レイシアと出会った少年が、そのアンドロイドの少女のオーナーとなるお話。
人間を超えた存在である超高度AIによって生み出された彼女が、少年のそばにいることを選んだ理由は何か。主人公である遠藤アラトは道具として、責任のとれない彼女の代わりに「選択と責任をとる」ことを求められ、オーナーとなります。
これだけ聞くと、単なるボーイミーツガールなわけですが、この話はそういう要素を含みながらも、「心のない道具」とそこにあるなにかを信じたい少年の物語として展開していきます。
さて、彼はいかなる選択をゆだねられるのでしょうか。
ここからはネタバレを含む感想になります。未読の方はぜひ、BEATLESSを読んで方お進みください。650頁、縦2段組みという、
「京極夏彦か!」(敬称略)
と突っ込みたくなるような小説ですが、それだけの読みごたえはありました。