ネタバレ(4)東野圭吾『レイクサイド』

安定のエンターテイナー

なんだか、最近、東野圭吾さんの小説ばかり読んでいるような気がしますが、好きなんですね。安心して読めるというか、そうひどいことにはならないだろうという安定感があります。ベストセラー作家だから、なのか、そういう人がベストセラー作家になるのか。おそらく後者だと思いますが、小説はエンターテイメントであることをわきまえたうえで、きっちり読者を楽しませてくれる作家さんです。

自分の悩みや主義主張、まかり間違っても半生なんかを投影した文学作品というのは、人生のそれなりの時期に、ある程度の気構えをもって読めばまた違うでしょうが、一日疲れた、誰か頑張った自分をせめて、ひと時楽しませてください、というサラリーマンの期待にきっちり応えてくれます。

さて、『レイクサイド』。この小説は『週刊小説』に連載されていた「もう殺人の森へは行かない」をベースに書き下ろされたものだそうです。

『レイクサイド』のあらすじ

四組の親子が参加する湖畔でひらかれる中学受験のための勉強合宿。並木俊介は妻の美奈子と連れ子の章太が参加するその合宿に遅れて合流する。連れ子の教育に熱心とはいえない俊介がこの合宿に参加したのは、実は妻の浮気相手がこの合宿に参加するメンバーの中にいるかもしれないと思ってのことだった。そこに俊介が妻の浮気調査を依頼していた愛人の高階英里子も合流する。妻の浮気相手を突き止める手掛かりを得ているという英里子は、その後俊介を湖畔のホテルで落ち合うと約束するが、予定の時間になっても彼女は現れない。不審におもった俊介が4組の夫婦が泊まる別荘にもどると、底には英里子の死体と、彼女を殺してしまったという妻美奈子の姿があった。警察に行こうという俊介に、残り2組の夫婦は口をそろえて、死体を始末して、全員で口裏を合わせて美奈子をかばおうと提案する。

次のページからはネタバレを含む感想です。まだ未読のかたは読まないでください。私は図書館で借りてしまったので大きなことは言えませんが、買っても公開のない一冊だったと思います。そしてこの小説は実は巻末の解説もとても秀逸です。この小説の肝をネタバレをすることなく、紹介していて、本の解説(とくに推理小説)はこうして書くものかと非常に勉強になりました。私の力ではネタバレ抜きでは感想はかけませんが、そもそもが、映画を見た後に「あれはすごかったよね」と誰かに言いたいから感想を書いておりますので。未読の方はぜひお読みになってから先にお進みください。

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