ネタバレ 映画『夜は短し歩けよ乙女』

森見登美彦の小説『夜は短し歩けよ乙女』がアニメ映画化されたので、連休中日に渋谷まで見に行った。早朝の会ということもあり、人影はまばらであった。映画自体は好みがわかれる。絵柄が特徴的なので、世界観をよく再現していると思う人もいるだろうし、最近の情報量の多いアニメ作画を見慣れた人はだいぶ物足りない感じがするだろう。

以下、ゆるくネタバレ。

この話は、黒髪の乙女と先輩の恋物語である。酒を飲めば底なしで、しかしあくまで淑女として京都の夜を堂々と押し通る黒髪の乙女を、ヘタレで外堀をうめることをこよなく愛する先輩が追いかけるという一夜の物語だ。

そう、「一夜」の物語なのである。映画では、意図的にすべてのエピソードが「夜」に起こっており、時間軸的にはちょっと無理があるが、すべてのエピソードが一夜での出来事のように構成されている。先斗町の飲み歩きも、下鴨古本市も、学園祭もすべて夜である。そして、この一夜を通して、先輩は黒髪の乙女を追いかけ、追いつき、乙女も先輩をはじめて意識する。

夜は短し歩けよ乙女といいながらも、夜は自在にその長さを変え、ラストの二人の初デートの日まで開けることがない。

ちなみに、原作はそのような構成ではなく、古本市も先輩は昼頃から繰り出しており、時間軸はまっとうに流れている。時間軸を凝縮し、テンポよく提供するリズミカルな演出は映画ならではだった。そのほかにもパンツ総番長をめぐるエピソードにも改変が加えられているが、そのおかげもあって個人的には、学園祭事務局長は映画版の方がいい感じな気がする。

乙女の声は花澤香奈菜、これだは下馬評通りイメージ通りだった。

原作を好きな人は見てもいいかもしれない。

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