アマゾンプライムで、『南極料理人』をみました。
南極の有名な昭和基地からさらに内陸に1000キロほど行った場所にあるドームふじ基地が舞台。ここに第38次越冬観測隊として赴任した海上保安庁に西村淳さんのエッセイ「面白南極料理人」をもとに堺雅人主演で作られた映画です。
あらすじは以下のとおり
妻と娘と赤ん坊の息子を置いての単身赴任で、南極観測隊員のメンバーとして新たに派遣された、海上保安庁の所属隊員・西村淳。その任務は、南極大陸の昭和基地からも遠く離れた陸の孤島、ドームふじ観測拠点で越冬する隊員8名分の食事を用意することだった。
(中略)
西村は限られた食材と特殊な環境の中、隊員たちのストレスを緩和すると同時に、飽きさせないメニューを作るために奮闘する。
Wikiさん
舞台となる南極のドームふじ基地にはペンギンもいなければアザラシもいない、寒くてウィルスも死んでしまうので、風邪もひかないというある意味では天国のようなところです。そこで1年以上の期間越冬して観測を行う隊員たちを描いた作品というと、なにかこうブリザードが吹き荒れる中でおきる事件とか、密閉された空間での事件とから人間ドラマみたいなものが想像されますが、そんなことは
一切ありません(笑)
この映画の何が素晴らしいかというと、食事の風景を通じて、隊員の日常を描いていること、そして、その描写がなんともいえず優しいことです。
私は、ハリウッド映画のような、ここで主人公が使命に目覚めて、ちょっとうまくいきかけたらどんでん返しがあって、そのために周りの人間が「物語上傷つく」というお約束のストーリーラインがすきではありません。
これは「イブの時間」の感想でも書いたことです。
この映画は、ひたすら南極の観測所で、娯楽もしくないし、他になにもないところで、野球したり、酒飲んだり、ラーメン食べたり、恋人と電話したり、ご飯食べたり、そんなことをして過ごしている隊員の日常が続きます。
堺雅人演じる中村君は、ちょっと癖のある隊員たちの食事を用意します。その立ち位置もとてもいい。一生懸命にやるのだけれど、必死だったり、悲壮だったりするわけでもなく、いい感じで肩の力が抜けている。おいしいモノを食べて、元気出して、とか、そういう押しつけがましさは一切ない。ただ、毎回工夫しながら食事を用意する。
隊員たちも、いろいろな問題を抱えていて、追い詰められたりすることもある、でもやっぱりおなかが減って、最後は食堂に戻ってくる、みんなで毎日ごはんをたべる。
それだけのことで、越冬は無事に終わり、みんながもといた場所へ帰っていく。
ただ、それだけのお話です。盛り上がりとか、ドラマとか、成長とかももしかしたらないかもしれない。食べることは生きること、なんていう押しつけもありません。
だから、久しぶりにすごくここちいい映画でした。エッセイもこんなだったら、ぜひ読んでみたいですね。肩の力がぬけて、ご飯もなんだかおいしくなるし、仕事で疲れた人にぜひみて欲しい映画でした
★★★★★