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sailor80周年の記念万年筆
セーラー80周年記念は私が万年筆に興味をもったきっかけであり、ブライヤー万年筆蒐集の最終目標ともいえるものでした。もともと万年筆に興味をもつきっかけになった大本は、プロフィット30周年記念のブライヤー。そのポスターを一目見て興味を持ち、その関連したテキストのなかで必ず対比されていたのが、この80周年記念モデルだったのです。
プロフィット30周年が発売されたのは、くしくも、セーラー100周年島桑が発売されたのと同じとし、80周年記念は既に発売から20年が経過し、市場からは姿を消して久しい時期でした。
パイプメーカー柘植製作所が手掛けたブライヤー軸
80周年記念モデルはパイプメーカーとして有名な柘植製作所が軸を手掛けており、近年枯渇してきているといわれているブライヤーの質も約30年前ですからまだまだ良好です。いま同じクオリティを出すことは難しいことを考えると、なんとか手元に置いておきたいものでした。
80周年記念モデルは、中古市場には時たま現れるものの、アップと同時にSOLD OUT。写真上の濃い茶は先だって中古市場で手に入れることができましたが、より希少度が高いとされる「薄茶」はなかなかめぐり合うことができず、まためぐり合ってもラッカーを剥がされた状態であったりと、求める発売当時の状態でなく、これまでご縁がありませんでした。
3年前に手元に、以降はほぼ眺めるだけ
そんなとき、2014年7月に、ようやく求める状態のものをお譲りいただくことができました。下の薄茶がそれです。濃いものとくらべると、軟らかいブライヤーの杢目がラッカー塗装で一層際立ち、艶やかな飴色がひときわ美しく見えます。
以前のブログでプロフィット30周年は、使い込むなかで育てていく良さがあると書きましたが、それに対して80周年はすでに完成された美しいプロダクトと言えます。役割を一対一にするというモノとの関係の原則からいうと、一つだけ外れてしまっている万年筆ですが、これは眼福用として、無駄な楽しみをひと時、目に与えることにしています。