万年筆を複数持っていると、次に気になるのは「万年筆ケース」です。一つひとつが決して安価とは言えない万年筆。軸自体もボールペンなどに比べると太いものも多いので、筆箱の中に詰め込む、といった扱いはしにくいですし、できれば避けたいもの。そんな万年筆ユーザーに、最高の万年筆ケースとしてお勧めしたいのがこのコンプロット10です。
もうどこの回し者かわかりませんが、(;^_^A 本日は、工房楔さんの「コンプロット」10花梨紅白瘤杢を詳しくご紹介したいと思います。
Contents
”秘密計画”という意味の万年筆ケース
コンプロットはイタリア語で「秘密計画」という意味だそうで、楔さんのサイトでは命名の由来が次のように紹介されています。
Conplotto(コンプロット)はイタリア語で、秘密計画・陰謀と言う意味があります。中に入れる万年筆やメモ、それは自分だけの秘密のもの、そんな悪戯ぽい感じで命名しました。
工房 楔 - ステーショナリー コンプロット-10(ディエーチ) -工房楔(せつ)では暮らしの中の木の創作家具、文具、小物を造作しています。
コンプロットシリーズは現在、4本の万年筆を収納できるコンプロット4(クワトロ)ロングと、同じくクワトロのミニ、1本差しのコンプロット1(ウーノ)が存在しますが、コンプロット10はそのなかでも一番多く、10本もの万年筆を収納できるケースとなっています。
一つの木の塊からつくられる「くりもの」
コンプロット10は、一つの木の塊から削り出「くりもの」という技法を使って作られているため、ふたを閉じた状態で蓋と蓋の境目で杢目が繋がっています。
このくりものをつくるには、それだけまとまった塊が必要になります。素材の厚みも必要ですし、大きくなればなるほど、それだけコンプロット10をつくれるだけの材料は取れにくくなるのです。
高まる希少性、5年越しの紅白
このため、一つのコンプロットをつくるためには大きな材が必要になりますが、このコンプロットのもとになった花梨という木の瘤、さらにそれが紅白の模様になっている部分、というのはなかなか出るものではないらしく、気長に待って、手元にくるまでに実に2年近くの歳月がかかりました。
花梨瘤は年々数が減っており希少性が高まっているとのこと。
工房楔の永田さんのお話によれば、花梨の紅白でコンプロット10が作れたのは実に5年ぶりくらいとのことで、その点からも、このサイズの素材が出るのがいかにレアなことかがわかります。
何度か、他のもの万年筆ケースにしようかと迷いましたが、待ってよかったです。
10本の万年筆が収納可能
内装はピッグスキン。両側に万年筆を入れて蓋を閉めても1本1本が落ちてこないように革のベルトがついています。試しに入れてみたところ。ブライヤーの万年筆が多く、なかでもライトブラウンの軸が映えるように内装の色を対色の紺にしてみました。
ですから、立てていれてものとおり。立てかけておくこともできます。
こちらが裏面。入り皮というそうですが、黒い部分があります。気になる人は気にするそうですが、私にはまったく欠点に見えません。
それよりもこの白焔のような模様がいつまで見ていてもあきません。
銘木のもつ天巧のあたたかさ
作家の開高健先生は『生物としての静物』という著書のなかで、銘木のブライヤーで作られたパイプの模様の美しさを次のように描写されていました。
木でできた貴石、木でできたペルシャ絨毯といいたくなるようなその精緻、その巧妙、その飛躍、そして木そのものが持つ天功のあたたかさと微笑と荘重がある―
厳選した木材で、美しく杢目がでるように削り出されたコンプロット10はまさにこの描写がぴったりくる作品です。机の上に置いた時の存在感と言い、観ていて飽きない杢目といい、これ以上の万年筆ケースはみたことがありません。(自分で書いていて典型的なワッショイ記事になっている気がしますが、問題点が出てきたらまたレビューします(;^_^A)
今年はこれで打ち止め?大満足でした。
今年の大きな買い物は、はやくもこれでおしまいになりそうです。でも、2年まった甲斐は十分にありました。楔さんの作品は、神戸のペン&メッセージさんのほか、最近では伊東屋さんにも卸されているようです。また、ときおりイベントで東京にも出展され、直販などもやっていらっしゃるようですから、気になる方はぜひのぞいてみてください。