木の宝石 ブライヤー
ブライヤーは地中海沿岸にツツジ科の灌木、その木瘤が原材料となっています。ツツジの根っことは言っても日本のツツジではそのような「木瘤」はできないそうで、あくまで原産地の土壌や風土などが組み合わさってできる貴重な木材として「木の宝石」と呼ばれています。
ですから、グレイン(木目)はどれ一つとっても同じものはなく、目が細かく、木目の揃ったものほど価値が高いと言われています。セーラーのプロフィット30周年・ブライヤー万年筆は、まさにそのブライヤーを使った一品。
プロフィットシリーズ30周年の記念
プロフィット30周年記念ブライヤーは、1981年にセーラーがプロフィットシリーズを発売して2011年に発売された記念モデル。シルバーリングにマットブラックの差し色がちょうどよく、つい一目惚れ。限定1000本でシリアルナンバー入り。
プロフィットは英語でそのまま訳すと「利益」ですが、セーラーがこの万年筆のシリーズを命名した際は「プロフェッショナルにフィットする」という意味を込めたといわれています。今でも司法試験など長時間の筆記を要する場面では、それようの万年筆をしつらえる人もいるとか。
もっとも昔は実用的な意味として、ボールペンも複写伝票もないなかで、万年筆のインクも酸化する耐水性の高いものでしたから「一度書いたら消せない」という責任ある筆記用具としての役割を万年筆が持っていましたから、高校入学や社会人になるときに、記念として万年筆が贈られたりするのはその名残でしょう。
2011年3月に購入したものです。
そしてこちらが現在
マットな木肌に独特のツヤがでるまで
写真は少し前に撮ったものなので、正確なタイミングは少し前になりますが、ほぼ使用6年といったところでしょうか。もともとはツヤのないマットな風合いでしたが、使いながら磨き込むうちにツヤが出てきています。
実は不人気だった?
このプロフィット30周年ブライヤーは、大人気となったセーラー80周年記念のブライヤーモデルの後継としての期待値の高さもあり、即完売かと思われたのですが、発売がちょうど震災に重なったこともあり、限定1000個という少なくない限定数がはけるまで三年近くかかりました。一時期などは、破格の値段でヤフオクに複数本出品されている時期がありました。
しかし、最近はそれほど頻繁には中古市場でも見かけなくなり、でてきても、プレミアムがついた価格でしか出品されなくなってしまいました。
なかなか手に入りにくくはなっていますが、書きやすく、また、幻になりつつある80周年がブライヤー軸をもともとコーティングしてツヤを出しているのに対して、この軸は木軸の木肌がそのまま露出しているので、自然の経年変化が味わえるという点で、エイジング好きにはアドバンテージのある一本です。
シリアルナンバー780
コメント
なかなかの艶ですね~。
私のはまだここまで行っていません。
コメントありがとうございます。30執念は個人的にはキャップリングのデザインがとても好きで、予算が許せば、残りの3列をこれで埋めたいほど気に入っています(笑)ぜひ、愛用の軸のその後、またお聞かせください。
具体的にどのようなお手入れをされたのでしょうか?艶の出し方など
コメントありがとうございます!
基本はつやふきんです。ご存じかもしれませんが、銀座のパイプやさん?で売っているもので、小さなハンドタオルみたいなものですが、木製品を磨くとほんのり艶がでます。あとは、こちらの軸はコーティングがないので、インクなとがついたときは、銀磨きのようなクロスで擦ってあげることもあります。これは極めこまかなヤスリみたいなものですから艶はでますが、リングやクリップなどがはげないように注意しないといけませんけどね。
返信ありがとうございます。参考にさせていただきます。
記事の内容も興味深く、非常に価値のある情報をたくさん得ることができたので満足しています。
それにしても、あの状態の80周年のブライヤーは羨ましいです。
そういっていただけると何よりです。またぜひあそびにいらしてください。
わたしも探し始めてから3年くらいかかりました。あとはまだそういうサービスをしていらっしゃるかわかりませんが銀座のユーロボックス様では当時(2010年くらい)探している万年筆をお伝えしておくとユーズドが入荷した際にご連絡いただくことができたりもしました。80周年も一度ご連絡をいただけたのですが、そのとき入荷したものはコーティングをはがしたものだったので、購入を見送った経緯があります。気長に待つことになりますが、そういったところにお声がけされるのもいいかもしれません。素敵な出会いのありますことを祈念しております。