オールデンを履くくらいなら裸足でいい?

オールデン975はホーウィン社のコードバンを使ったモデル。バリーラストが私の足には実にぴったりで、ほどよい重厚感が足元に安定感をもたらし、これを履いている日はなんとなくいつもよりも心持も落ち着いた気持ちになる、そんな一足です。

しかし、このコードバンは、本当に水に弱い。雨にうたれれば、ほんの少しでも水膨れのようになってしまい、それをもとにもどすのは素人には至難の業。ですから、降水確率が30%以上の予報のときにはまず履いて出ることができません。

もちろん、急な夕立や雨が降らないとも限りませんから、いつも天候には気を使います。

正直な話、折り畳み傘を鞄に常備しており、会社は地下鉄から直結とあって、雨が降っても濡れるのは駅から家までのわずかな間。ですから、ほとんど天気予報を気にかけたことなどなかったのですが、この靴を履くようになってからは、週間天気予報と前日の天気は必見。

しかし、それでもダメな時はダメ。

この975も購入してまだ間もないころ、夕立に打たれ、アッパーの部分が被弾。かなり水膨れのような跡が目立ってしまったので、一度ユニオンワークスさんに持ち込み、磨くついでにケアしてもらいました。(それでも完全には元通りとはいいがたいですが)

もう二度とそんな目にはと思い、降水確率30%以上の時は控えていたのですが、

つい先日。

20%の予報にもかかわらず、いきなり土砂降りの雨

すごい雨。

ここを歩いたらコードバン死亡確実。

しかし、やむ気配はない。

その時歴史は動いた。

これはもう、脱ぐしかない。

脱ぎましたね。

靴を脱いで、ちょうど持っていた紙袋に入れて、靴下で歩いて家まで帰りました。

裸足ではさすがにありませんでしたが、雨の中、アスファルトのうえを靴下で歩いていると、なんといえないみじめな気持ちになることは保証します。

夜でしたし、足早にあるく人たちが、私の足元なんぞみてはいなかったと思いますが、信号待ちで並んでいるとき、人生であれほど「早く青になれ」と思ったことはありません。ガラスやとがった物などを踏んだら本当に大惨事になるところでした。

無事に帰れたのは本当に奇跡です。

何度思い返しても「なにしているのか」と思いますし、「これは靴としてどうなのだろう」と思うのですが、この独特のツヤと本当にぴたりとくる履き心地を思うと、どうしても手放せません。最近では防水スプレーも専用のものが出てきているようですが、それとて万能ではないでしょうから、この悩みは、おそらくずっとつきあっていかなくてはならない類のもの。

それでも靴を何足も整理してきたなかでも生き残っている大切な靴です。

この欠点がなければ、おそらくこの靴は完璧です。ウィングチップはもともとがカジュアルよりですが、バーガンディカラーと、コードバン特有の履き皺で、さらにカジュアルな面構えになっており、ジャケパンスタイルにはほんとうによく合います。

ただ、何度もいいますが、本当に雨に弱い。それでもまったく気にしない、というお大臣が履くべきであって、雨などを気にする人間はそもそも履くべきではないのかもしれませんが…。

でも、手放せない。

雨が降ったらハダシ。

でも、一番気に入っている靴

これだけ難儀な靴なのに、なお愛着がわく975.不思議な靴です。

雨が降ったらどうしているのか、ぜひ履いている方にお伺いしてみたいところです。

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