幼女戦記と自粛生活

日本政府が緊張感を持って注視している四連休、皆さまいかがお過ごしでしょうか。県民であるワタクシは、目下自粛中であります。こんな時だからこそ、お厚いのがお好き、とばかりに太めの小説を選んでみましたが「幼女戦記」。

異世界転生でエリートサラリーマンのオッサンが幼女に転生し、第一次大戦のドイツにきわめてよく似た架空世界で七転八倒しながら戦争する話です。主人公はターニャ・デグレチャフ少佐(1巻で少尉で2巻ですでに少佐、シャアアズナブルより早い出世)。

タイトル詐欺、表紙詐欺といろいろ言われますが、篠月しのぶさんの絵はイイ感じで目が病的です。架空戦史としてもなかなかに秀逸ですが、完全にリンクしているわけではなく、国名も違えば展開も少しことなるのでこのドイツっぽい「帝国」がどうなるのかは不明です。小説が原作で、マンガ、アニメとメディアミックスも順調のようで、世も末です。

もともとがリストラを手掛ける人事課長だった主人公なので、人を人的資源として合理的に扱い、大隊長へと順調に出世していく様が実に痛快です。見かけは幼女なのですが、よくも悪くも小説はそれをあまり意識させずに、戦記としても読めてしまうのがいいですね。これがマンガになるとその辺のギャップに重点が置かれているので別な意味でお楽しみいただけます(アニメーションの方は悠木碧様の声だけで十分))。

命令の範囲内で結果を出すという軍人の責務を果たしながら出世と保身を天秤にかけて、そのきわどいバランスを企業戦士としての前世のスキルで綱渡りのように歩んでいく幼女、というもうそこから突っ込んでいいかわからない設定に心が和むのはやはり自粛疲れでしょうか。

この厚さで12巻も既刊があるのでしばらくは楽しめるでしょう。それにしてもやはり自粛を要請されるって言葉として変ですよね。「自発的に行いと態度を改めることを要請する」「わかるだろ?」と言われてわかっちゃってがんばっちゃった末端って大抵ひどい目にあうのが物語の定石のような気もするし、幼女戦記のような軍隊や会社組織ならそれで報われることもあるでしょうが、「緊張感をもって注視している」お国のためには、あと2日の自粛はむずかしいですゾ

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