『銀の匙』第5巻 感想 副部長現る

エゾノー祭を控え、校内(デカい)ゴミ拾いを行う八軒が拾ったのは「子犬」。学校で飼うことを許され、馬術部内に犬小屋を建ててもらった子犬は、拾い主の八軒にちなんで「副部長」と名付けられます。

そして、八軒が所属する馬術部でも初めての大会に向けての練習が佳境へ。一人マロンとの息を合わせられない八軒は、もっと練習をしないとと焦りますが、馬のこともかんがえないとだめだと叱られ、二人は少し気まずい仲に…。

学園祭の準備や駒場の野球の甲子園予選大会も同時並行で進むなど、読みどころの多い5巻でした。

副部長のえさ代は誰が持つのか。

個人的に面白かったのは、拾われた子犬のえさ代のところ。買うとなったら予防接種やらなにやらお金がかかるもの。かわいそうで飼いたいだけではどうにもならないお金の部分を描くのは、もはやこのマンガでは当たり前のことですが(ちなみにワクチンの接種代金などはここでも八軒のバイト代)、一度で終わらないエサ代問題が発生します。

ここで八軒はまたバイト代から出そうか、と提案しますが、「八軒が卒業しちゃったら誰がエサ代出すんだよ」と言われてしまいます。

この辺りのツッコミの一コマがこのマンガのとても魅力的なところです。お金の話をいい加減に書かないところ。経済動物を扱う農業高校のマンガならではといえばそうなのですが、こういう一言や一コマがおろそかにされていないところがとてもいいと思います。

結局、このエサ問題は常盤の機転により「おやつ代」と書かれた竹筒を常に副部長が首からブラさげておくことでいろいろな人からの募金を自ら募る、という手法で解決されます。

これもまたうまいです。もちろん、野良犬や普通の飼い犬がそんなことをしても、なかなかエサ代は稼げないでしょうが、エゾノーのおおらかな雰囲気と生徒の自主性を尊重する校風からすれば、エサ代も集まるかなと思えてしまいます。

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