万年筆を買う前に最低限知っておいてほしい5つのこと

万年筆に復権の兆しがある、というニュースをここ数年でよく目にするようになりました。

手書きのよさ、大人の教養、ワンランク上のほにゃらら、どんな文脈にせよ、この文具に光があたり、たくさんの人がその魅力に触れてくださるようになることはとても素晴らしいことです。

だからこそ、がっかりしないための、こんなはずではなかった!と思う人がでないための、万年筆を買う前に知っておいてほしいことをまとめてみました。

Contents

こんなはずではなかった!1

書ける字が太い。

万年筆には普通、太字、中字、細字の三つの太さのペン先があり、さらにこまかく、極細であったり、カリグラフィで使うような特殊なペン先があったりします。

また、欧米のメーカーなら、B、M、Fの順で細くなり、EFが最も細くなります。Bが太字、Mさ中字、Fが細字といわれますが、欧米の万年筆は日本製に比べて太い印象があり、ペリカンのFなどは、日本の中字くらいなんでは、という太さがあります。

ですから、EFだからといって、日本の万年筆の極細と同じだと思うと、全然太かったりします。メーカーによっても、また個体によっても差があったりしますから、必ず買うときは店頭で試し書きをしましょう。

いつも、ボールペンの極細使ってるから、万年筆も極細がいいな、EFはエクストラファイン、極細か!これにしよう!なんて考えてポチるとえらいめにあいますので、ご注意下さい(^_^;)

こんなはずではなかった!2

いつものように書く、

やっぱり太い!

では、国産の極細で、店頭ではぷるぷるしながら試し書きをして、納得して購入。普段使いしてみると、やっぱり太くない?という人がいます。

これは、筆圧が強いから。ボールペンやシャープペンと同じような感覚で使うと、同じような細さのペン先でも確実に書ける線は太くなります。

これはもともと万年筆がボールペンとは全く異なり、金属の板に設けられたスリットをインクが伝わる毛細管現象によって筆記される仕組みであることに原因があります。

いくら細字の万年筆をあつらえても、筆圧が強ければ、スリットが余分に開いてしまってインクの供給量が増え、字がどんどん太くなってしまいます。

万年筆を使うときは筆圧をかけずに、ペン先を紙の上に置いたらあとは滑るように。ぐりぐり書くのは厳禁です。

※ただし、ラミーのスチールのペン先の万年筆などは強めの筆圧でもあまりペン先は開かないので、筆圧強くて万年筆をガシガシ使いたい人にはおすすめです。なにも金ペンでないとダメ、なんて理由はありません。

こんなはずではなかった!3

滲む!

万年筆のインクは裏写り、裏抜け、にじみが出ることがあります。とくに、文具にこだわる人が大好きなモレスキン。お気に入りのモレスキンに買ったばかりの万年筆で書いてみよう!なんて思って書いたらさぁ大変。にじむは裏写りはするわで、次のページは大変なことに。

こちらはモレスキンにセーラーのジェントルインクのブルーブラックで書いたもの。ペン先は細字相当です。

完全に裏移りしていますね。

これは万年筆のインクが水性が多いため。昔は酸化鉄の成分を用いたブルーブラックのインクが主流で、水にも強かったのですが、環境への配慮やメンテナンスのしやすさなどから、いまの万年筆のインクは殆どが水性です。

セーラーからでているパーマネントインクの極黒などは、水にも強く、滲みも少ないのでおすすめです。

万年筆を買うときは、お使いのノートとインクの愛称をよく調べておきましょう。試し書きをさせてくれる場合に使うインクは普通は水性ですから、購入時にマイノートを持参するのもよいでしょう。

ちなみに、先日ご紹介した上記のデザインYさんのノートは滲みません!

こんなはずではなかった!4

すぐ傷だらけ

これはら気にするかどうかの問題もありますが、万年筆は普通金ペンだと、安くても二万から三万はしますし、高いもでは十万を軽く越えます。

文具というよりは工芸品。購入時にはため息の出るような美しさでしょう。それをまさか、他の文具と一緒に筆箱なんぞに入れたら最後、一日で傷だらけになります。

万年筆を持ち運ぶときは、一本一本の軸がふれ合わないように収納スペースが分割されたペンケースが必須です。購入時にはぜひ、万年筆だけではなく持ち運びに便利なペンケースもあわせて買っておきましょう。

これはやりすぎですが(^_^;)

こんなはずではなかった!5

あれ、書きにくい?

最後は万年筆を語る上で避けては通れない問題です。自分にあった太さのペン先を見つけ、筆圧にも気をつけているのに、なぜか書きにくい、かすれる、ひっかかる、そんな時があります。

それは、ズバリ、あなたの書きぐせにペン先があっていないから。万年筆はボールペンと違ってどんな角度でも書ける文具出はありません。ペン先についたイリジウムの玉が、ある一定の角度で紙に設置すると書きやすいように削られているのですが、その角度があなたがいつものようにペンを持つ角度でないと、これが、非常に書きにくい。

でも、それを乗り越えれば…

これはガンガン使って、ペン先が自分の癖に沿って削れて来るのを待つしかありません。これがこなれてくると、ある日突然、ペンとあなたは一心同体。これはもう自分以外のだれにも合わない無二のパートナーになれます。

この手間隙が、万年筆の醍醐味であり、一番の楽しみともいえるのです。そんなに待てない!という人には、調整というサービスもあります。これはホントに名人芸の世界ですね。

さて、いかがでしたでしょうか。万年筆を買う前に知っておいてほしいこと5つ。すべてを踏まえて、あなた自身の最高の一本を見つけていただければ幸いです。

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