BOOK・OFF会2006年夏

先日、後輩氏と会社帰りにブックオフ対決を決行した。

説明しよう、ブックオフ対決とは

お互いにテーマを設定し、制限時間内に1000円 の範囲で好きな本を購入。その後選んだ本とテーマ との整合性、インパクト、資料的価値を勘案して 雌雄を決するという知的遊戯である。

買った本は、その場で相手に進呈され、 お互い読み干さねばならない。

ルールに移る。

決闘の場はブックオフ。清水邦明の声も朗らかな、 買い取り無料の古本屋チェーンである。

制限時間は20分。時間内に本棚を駆け巡り、 清算を済ませねばならない。
手持ち金額は1000円とする。消費税は含まれない。 この範囲であれば何冊買っても良い。

双方両替の儀

我々は仕事帰りに荻窪ブックオフに集合し、まずは 駅前のたいやきで腹ごしらえ。腹が減っては戦はで きぬ。その後財布からそれぞれ1000円を出して交換する。1000円自体に変わりはないが、実益 がないということはすなわちこれが儀式である証拠である。神妙な面持ちで1000円を交換する男二人。様にも絵にもならないが冗談にはなる、はずだ。

両替の儀を済ませた後、購入スタート。
制限時間20分。

迷ってはいられない。限られた金額で相手のツボを 刺激する本を買うには単価を抑えて冊数を膨らませる のが正しい戦略だ。

迷わず百均の文庫棚へ。

テーマは「時代」 60年代から80年代、90年代の精神史を俯瞰する 書籍を並べる作戦をとった。

「されど我らが日々」60年代学生運動のバイブル。
「二十歳の原点」学生運動の末自殺した女学生の日記
「あさま山荘事件」内ゲバの極点
「高校時代」学生運動の季節に遅れてきた高校生の青春
「僕は模造人間」遅れてきた世代、島田雅彦の傑作
「なんとなくクリスタル」学生運動の面影はもうない
「風の歌を聴け」連帯も運動もない「僕」の時代の幕開け

最後になると既にかなり強引だが、年代を追って変化する 空気の流れを追った本を集めた。
これが全部100円でそろうブックオフがちょっと怖い。

後輩氏の動きも気になる。 まだ一度も均一棚で見かけていない。彼はどこで何をさ がしているのか。

20分後店の外で合流し、近くの飯やで品評会に移る。 こちらの弾は先ほどの7冊。テーマとの整合性は理解 されたものの、資料的価値は低く、内三冊が既に相手は 既読。苦しい戦いを強いられる。

さあ、相手の本である。

テーマは「想像力」

「H2」1巻あだち充
「いつでも美空」1巻あだち充
「カツ」1巻あだち充
「虹色とうがらし」1巻あだち充
「みゆき」1巻あだち充
「陽あたり良好」1巻あだち充

あまり知られていない事だが、あだち充ほど多作な 作家はいないと言われる。それを果敢についた見事 な作戦である。シリーズもの、全て1巻。

いやがおうでも想像力がかき立てられるではないか しかも全て読んだ事がない。H2くらい読めよ、という 声が聞こえそうだが、野球漫画を読む動機が、人生の どこを探しても見つからなかったんだから仕方ない。

「タッチ」を敢えて外してくるあたりも狡猾である。
テクニカルポイント2、といったところだ。

テーマとの整合性、資料的価値も高い。 あだち充を選ぶ渋さと、1巻を全て並べた構成力

まさに渋知(シブチ)

この勝負完敗である。

※2006年にほかのサイトで書いたものをまとめなおしました。

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