万年筆もだいぶ整理しましたが、それでも手元に残してあるのがこのセーラー80周年記念のブライヤー万年筆です。セーラーでは創業の周年記念として75周年、80周年、85周年、90周年、95周年、100周年と5年ごとに周年記念の万年筆を出していた時代があり(2011年に100周年が出てから、私の知る限り105周年は出ていないと思われます)、なかでも80周年、90周年、100周年の節目には、木軸の万年筆が作られていました。
写真の万年筆は、そのなかで、現在もっとも希少価値が高いとされる80周年の限定モデル。濃いブラウンと、薄い茶色の2種類があり、薄い色の方が人気があります。どちらもブライヤーという木の根っこの瘤の部分を素材に使っており、複雑な杢目は木の宝石と言われるほど。緊密な杢目で鳥の目のようみえることから、その模様はバーズアイとも呼ばれています。いずれの軸もつややかにコーティングされており、その賛否はありますが、木の杢目を美しく見せるという意味では最高の一本ではないかと思います。
整理を進めていく過程でも、残すべきか、モノと役割を一対一で考えた場合、普段使わない万年筆を持っていることはどうなのか、といろいと考えましたが、ふと取り出して眺めて、綺麗だなと思う、その時間にも価値があると思い、とっておくことにしています。
なんでも手放してしまうのではなく、整理をする過程で、自分にとって本当に大切なものが何かを見つめなおす。そして、それを時折、繰り返すことで、さらに自分の中に基準が磨かれ、ときには修正され、最適化されていく、それこそが整理が大切な本当の理由なのだと思っています。
※写真は、いまでも持っているそのほかのブライヤー万年筆です。固定ページのおすすめの万年筆のなかには、残念ながら手放してしまったものも入っていますが、以下のものはそれを潜り抜けて手元に残った軸たちです。