ミニマリストの本棚(1)開高健『小説家のメニュー』

こんばんわ

ここ1年でだいぶモノが減ってすっきりしてきましたが、どうしても減らないのが本と雑誌です。残っている本はどれも一言もふたこともお勧めしたくなる思い入れのあるものばかり。

本棚を見れば、私はどうみてもミニマリストではありません。

しかし、ミニマリストは「自分にとっての」最小限を常に追い求めている人のことであって、持ち物が少ない=ミニマリストではないというのが私の考えです。

だから、残っている本にはすべて意味があるし、おすすめできると思っています。

そこで、新しいカテゴリーをつくりました。

題して、ミニマリストの本棚。

どうしても手放せず、書棚に残っている本をレビューしていきたいと思います。

ミニマリストの本棚の記念すべき第1冊はこちら

今日ご紹介する本は、開高健先生の『小説家のメニュー』です。この本は、開高先生が世界中で食べ歩いた珍味を、軽妙な語り口で書き下ろした食のエッセイです。

アマゾン川のピラニアからアイスクリーム、マイアミのストーン・クラブまで、さまざまなモノを食す開高先生の文章はいつよんでも軽やかで、胃袋を通して世界中を旅する思いがします。

ピンガというサトウキビから採った焼酎をすすり、ピラーニャの薄づくりを口に運ぶ。アマゾンの上に月がのぼり、その月を眺め、河風に吹かれながら楽しむ猛魚ピラーニャの肉は、ひたすら爽涼であった。『小説家のメニュー』(中公文庫)48頁

ピラニアなんて食べたこともないし、サトウキビからできた焼酎も飲んだことはありません。ましてやアマゾンなんて行ったこともありません。

でも開高先生の文章を読むと、その全部がありありとイメージできるから不思議です。

食べることは胃袋を通して世界をみること。開高先生の文章は五感のなかでも特に味覚に訴えてくるものが多く、読んでいるだけで食べている気になるスゴイ文章です。

読むことと食べることは全く別にもかかわらず、自分の生きた体験をもとに、それに合う言葉を慎重にも慎重を重ねて選び、並べることで、味覚を再現してしまう文章の求道者、開高先生は私にとってはそんな作家さんなのです。

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