ネタバレ(1) 宿野かほる『ルビンの壺が割れた』

男性は実は殺人犯で、

女性が結婚式当時に現れなかったのは、

男性の殺人に気が付いたから。

男は、出所後、女性にメッセージを送り、身元を聞き出そうとアプロ―チしていた。

動機はおそらく復讐。同じようなアプローチを受けて連絡をとったとみられる許嫁だった女性は行方不明になったことが、のちに女性の口から明らかにされており、おそらくこの男の手によって殺害されたものと考えられる(そのタイミングで男はSNSのアカウントを変更している)

この作品は、衝撃的過ぎて編集者がコピーをつけられず、発売前にWebで全文が公開され、読者の手にコピー(というかほとんどが読後感だったが)がゆだねられた作品として少し前に話題になった。その後正式に出版されたが、そうした経緯もあり、帯にはたくさんの読者の声が、コピーというよりはあおりのようなかたちでぎっしり掲載されていた。

ただ、ここまでやるほどの問題作、衝撃作かといえば、少し疑問は残る。

SNSのメッセージでこんな長文を書くかのはいかにも迂遠だ。

そこはまあ50代くらいになった作中人物の年齢によるものといえなくもないが、その年代がSNSを使ってやりとり、というのもちょっと微妙。

素直に手紙位にしておけばよかったと思う。そもそも、元婚約者が殺人犯とわかって、しかも実刑を食らっていることがわかっている女性がSNSで苗字が変わっていたとはいえ、名前をさらすものかどうか。以下、それ以外の大きな疑問をいくつか。

・失踪した少女の髪飾りが部屋にあったくらいで、婚約者(しかも当時は愛していた)を幼女殺人犯だと疑い、それを両親にも相談せずに

結婚式当日にいなくなったりするものだろうか?

・そんな相手から30年ぶりにメッセージが届いて、もうすぐがんで死ぬようなことをにおわされていたとはいえ、返信をするだろうか?

・失踪の真実についても、普通はもっと早い段階で話題になるし、

女性が連続幼女殺害事件の犯人のくせに

お前なに言ってるんだ!

と普通の男性にいわないのはどう考えてもおかしい。

話題作というか話題先行という気もなきにしもあらずでしたが、、、。

でも、その話題性を差し引けば、十分楽しませてもらいましたけどね。

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